夜空の琥珀

 ……何が起きたのかわからなかった。

 大きく揺らいだ身体をなにかが包み込み、一瞬だけ、ふわりと浮いたような感覚。

 けれども落下は止まらず、どんどん床が迫ってくる。



(ぶつかる……!)



 衝撃を覚悟した直後、何かが打ちつけられる鈍い音を聞いた。

 金属のようなものが飛び跳ね、止まった音もした。


 予想していた衝撃は、いつまで経ってもやってこない。

 恐る恐る目を開いてみると……違う意味で衝撃を受ける。

 私の下に若葉くんがいた。

 じゃあ、さっきの音は……!



「若葉くんっ、大丈夫!?」



 急いで上から退き、真っ青になりながら呼びかける。

 若葉くんは苦痛に顔を歪ませていた。

 当然だ。堅い床に、あれほど思いっきり頭を打ち付けたのだから。
 
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