夜空の琥珀
 
「ごめんなさい、私……っ!」


「……だいじょうぶ、だよ。平気」



 頭を押さえながらも起き上がる若葉くん。

 幸い言葉がハッキリしていたから、ホッと胸を撫で下ろし……そのまま固まった。

 私が座り込んでいるすぐ傍に、眼鏡が落ちていたからだ。


 反射的に顔を上げると、やはり彼は眼鏡をしていなかった。

 が、そんなことは些末なほど、衝撃の新事実が明かされることになる。


 若葉くんの瞳がゆっくりと開かれる。

 長いまつげから覗いた瞳が最初に床を見、やがて目の前の私へと視線を移す。


 言葉を失ってしまった。


 じっと見つめてくる双眸が今までの黒目ではなく、新緑の森を髣髴とさせるような、深い緑色をしていたのだ。
 
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