夜空の琥珀
「――っ!」
若葉くんは弾かれたように辺りを見回し、眼鏡を見つけると急いで手を伸ばす。
「え……」
一瞬のことだった。
定位置に収まったレンズ越しに見た瞳は、元の黒目だ。
「ごめん、驚かせて。……変な色、だったよね」
自嘲気味に若葉くんは笑う。
……外国では、青や灰色なんていうのはあるけど、あんなに深い緑色なんて聞いたことがない。
ビックリはした、けれど。
「そうかな」
「え?」
「青々とした葉っぱみたいで、若葉くんにとっても似合うと思う。隠してるのが勿体ないくらい」
とか何とか1人でうなずいてると、若葉くんが目を丸くしていた。
「あっ! また私1人で盛り上がっちゃったね。ごめんっ」
「いや……ビックリしただけ。そんな風に言われたことないから」
少しの間ためらっていた若葉くんは、意を決したように口を開く。