夜空の琥珀
「――ふざけたこと言ってんじゃねぇ」
「……は」
私の剣幕に、城ヶ崎が口をつぐむ。
「もう帰っていいぞ」
「あ、あの……」
「気にすんな。あとは任せとけ」
「テメェ、何のつもりだ!」
戸惑う少女の背を押し、小さなそれが見えなくなったのを見届けた後、声を荒げる城ヶ崎と対峙をする。
「来週の頭から体育館を改修する関係で、用具の一部はこっちで保管することになったと、部活中に言われたからな」
「なっ……!」
困惑の表情を見せるその一瞬の隙を逃さず、城ヶ崎を見据える。
「人に指図するのは、ちゃんと部活に顔を出してからだ。今日だって気まぐれに思い立っただけだろう。
真っ当な剣道部員を語るつもりなら、もっと人間完成させてから出直してきな」
「黙ってりゃ好き放題言いやがって!」