夜空の琥珀
「えっと……若葉くんはそこで何を?」
「やだなぁ紅林さん。夕飯の材料を買うんだよ。葉物野菜がビックリするほど高くてね。もう大変で大変で」
私、若葉くんと話してるのよね?
なのに主婦が見えるのはなぜ?
「わ、若葉くんって、家庭的、なのね」
「意識したことはなかったけど、言われてみればそうなのかな。
ウチは兄弟多いから、母さんを手伝ううちにいつの間にか僕の仕事になっちゃったんだ。学校帰りの買い物は日課みたいなものだよ」
「兄弟がいるの?」
「妹と弟が1人ずつ。まだ子供だから僕が面倒見なきゃいけないからね。……似合わなかった?」
「ううん、全然!」
お兄ちゃんなんだ。
若葉くんがしっかりしてる理由もこれで納得。
それにしても、料理が日課とは驚き。
私も頑張らねば、とひそかに決心した朝の出来事でした。