夜空の琥珀

 私の通う都立光涼(こうりょう)高校は、男女共学、全日制と至極一般の学校だ。

 梅雨の雨脚もすっかり遠のき、これからが夏本番という7月初旬。

 快晴の空の下、細長い臙脂の包みを片手に、渡り廊下を急いでいたときのこと。

 ちょうど向かいから男子生徒がやってくるのが見えた。



「よぉ紅林瀬良。今日はちゃんと学校来てんだな」


「……げ」



 条件反射で口元が引きつってしまう。


 ヤバイですお月さま。

 朝っぱらからごめんなさい、力を貸してください。
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