夜空の琥珀
 
 前を見ずに走り続けた。

 手が痛い。胸が痛い。


 涙が出てくる。

 視界がどんどんぐちゃぐちゃになる。

 私の心もぐちゃぐちゃ。

 もう、何が何だかわからない。


 走っているうちに強烈な眩暈に襲われ、腹部へ刺すような痛みも感じた。



(……また、来た)



 足の力が抜け、よろよろと無機質な壁にもたれかかる。
 
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