夜空の琥珀

「んだと……!」



 さらに言い募ろうと相手が動くのを認め、仕方なく肩にかけていた包みを下ろす。

 包みと同じ臙脂の紐をほどき、間もなく現れたのは四尺弱の竹刀。

 それを握り締め、男子生徒の目前に掲げてみせた。



「くだらないことするヒマあったら、ちったぁ勉強しやがれ」



 ……痛いくらいの沈黙。

 舌打ちが聞こえ、やがて忌々しそうな視線を置き土産に男子生徒は去って行った。

 その背中が渡り廊下を曲がって見えなくなると、やっと竹刀をおろし、



「こここ、怖かったっ!」



 ヘナヘナと、その場に崩れ落ちた。
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