夜空の琥珀
 
 まだ怒ってる? 何で?

 私何かしたかな。

 というか、何かしたの私なの?


 そうよね。2人っきりなんだし、他の誰が何をしたって……。



(……ちょっと待って! 私、今なんて……2人っきり?)



 今更だけど、再認識してしまう。

 え、何これ。顔がすごく熱いんだけど。



「あれ?」



 火照った頬を両手で覆い、押し黙ってしまった私を見て、若葉くんがきょとんとする。



「なんだ」



 それだけ言うと笑った。

 その笑顔を見てさらに顔が熱くなると、若葉くんはもっと笑みを浮かべる。


 なんで若葉くんは笑ってるの?

 なんで私は顔が熱くなって…………。



「紅林さん」


「は、はひィッ!!」



 声が裏返った。……もうやだ。

 焦ってるこっちがバカみたいに向けられたのは、いつもと変わらない笑顔。
 
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