夜空の琥珀
「じゃあ僕、教室に荷物を取りに行ってくるよ」
「重いから自分で行くよ。歩けるし」
「それじゃあ休む意味がないでしょう」
「でも、日直も全部してくれたんでしょ? 迷惑かけてばっかりで悪いもの」
「何言ってるの。迷惑をかけられるために僕がいるんじゃない? 紅林さんは、もっと人をコキ使うことを覚えたほうがいいよ」
「……そんなことを勧めるのはどうかと思うんだけど」
コキ使うとか……若葉くんに何だか黒いものが見え隠れしているのは、気のせい?
「とにかく、紅林さんはもっと甘えるべきだってこと! いい? 遠慮禁止だから」
「えっ!」
禁止されちゃった。
えっと……どうしよ?
色々考えたけど何も思い浮かばない。
となると、仕方ない。
「じゃあお言葉に甘えて、お願いしてもいい?」
こっちは申し訳ない気持ちでいっぱいだったけど、若葉くんはすごく嬉しそうに笑った。
「もちろん!」