夜空の琥珀
 
「いってぇ……」



 恐る恐るまぶたを開く。

 顔をしかめ、手の甲を押さた男は、目前の人物を睨みつけている。


 私は目を見張った。


 向けられた背中と、握られた竹刀。

 突如として現れた少年が、私と男の間に立ちはだかっていたのだ。

 少年の周囲はまるで次元が違っていて、ともすればピリピリと痛みを感じるほど、空気が張り詰めている。



「……誰がどんな趣味思考を持っていようが、俺には一切関係ないが」



 少年が淡々と声を発する。

 後ろへ押しやる仕草が、私を庇ってくれているようだった。



「調子に乗るなよ。妄想はテメェの脳内満足だけにしとけ。――失せろ」



 絶対零度の声音で男を貫き、喉元に竹刀を突きつける少年。
 
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