夜空の琥珀
 
「……な、何なんだ、それは……!」



 完全に動きを封じられた男の視線が少年に釘付けだった。

 その怯えようが、尋常じゃない。



「あり得ない……そんなこと……ば、化け物!」



 少年は背を向けているから、私には何のことだかわからない。



「化け物っ!!」



 ただそう言い放ったのを最後に、男が一目散に逃げ出したことはわかった。

 暗がりでは、その姿が見えなくなるのも時間の問題。


 やがて傍で漏れたため息が、私を我に返らせる。


 少年が脇をすり抜けた、と思ったら、すれ違いざまに手首を掴まれた。

 仰天する私をよそに、彼は歩み出す。
 
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