夜空の琥珀
 
 曲がり角で誰かと正面衝突し、尻餅をつく。

 その拍子に、手にしていたランチバッグが地面に投げ出された。



「何やってんだ、お前」



 腰をさすっていたとき、不機嫌そうに私を見下ろしていたのは――城ヶ崎だった。



「ったく、落ち着きのねぇ女だな」



 落ちたランチバッグを拾い上げる。

 ただそれだけの動作なのに、城ヶ崎から目が離せなくなってしまった。



「何ボケっと突っ立ってやがんだ。さっさと引き取れ」



 素っ気なく突き出されたランチバッグを引き取るより先に、城ヶ崎へ詰め寄る。



「お前、昔私と会ったことがあるか?」


「は? 意味わかんねぇことを言うヒマあるなら……」


「いいから答えろっ!」


「……っ、うるせーな。ない。……これで満足だろ。耳元で叫ぶな」


「そうか……よかった」



 ほっと胸を撫で下ろし、ハッとする。

 私、今どうして……。
 
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