課長さんはイジワル2
第1章 上司は悪魔
第1節 むかつく課長
「おい!」
佐久間課長が私に声を掛ける。
「はいっ!」
私は自分のしている仕事を中断して、債券トレーディングブースの左隣の課長の方を向く。
その距離、わずか15cm。
ひぇ~!
チョー緊張する。
だって、この人、ぜんっぜん笑わないし。
それに、冗談だって全く言わない。
上司じゃなかったら、『スルーしたい男NO.1』確定。
由紀ねぇの元上司だったって聞いたけど、よくこんな男の隣で仕事ができたなぁ~なんて感心する。
それどころか、由紀ねぇは……
「悪い人じゃないよ~」
なんて呑気なこと言ってたけど……。
ま、能天気だから、あの人は。
「おい。聞いてる?」
「あっ!はい、聞いてます!」
「このインベントリー(目録みたいな物)にある政保債(政府保証債)、うちの出し客の取り。1億でディーラーからレート出して貰って」
必死にメモして政保債ディーラーのところに行こうとするけど……
「お前さぁ……」
私の腕を捕まえて、佐久間課長が「はぁ~」と溜息を吐く。
「入社して6ヶ月にもなるんだから、こんなことくらいでいちいちメモなんかしてないで頭に入れろよ。
証券会社は時間が命。
メモ取ってる暇があったら、即行動に移せよ」
うっ、出た。
これだから、ヤなんだよ、この人。
「つ、次からそうします」
「今からそうしろ」
佐久間課長は私がメモった紙を剥がすと、ビリビリ破いてしまう。
こ、こいつ……。
「どうした?行けよ。証券会社は……」
「『時間が命』ですね。かしこまりました!」
仕事を一日でも早く覚えて、いつかこいつを見返してやる!
佐久間課長が私に声を掛ける。
「はいっ!」
私は自分のしている仕事を中断して、債券トレーディングブースの左隣の課長の方を向く。
その距離、わずか15cm。
ひぇ~!
チョー緊張する。
だって、この人、ぜんっぜん笑わないし。
それに、冗談だって全く言わない。
上司じゃなかったら、『スルーしたい男NO.1』確定。
由紀ねぇの元上司だったって聞いたけど、よくこんな男の隣で仕事ができたなぁ~なんて感心する。
それどころか、由紀ねぇは……
「悪い人じゃないよ~」
なんて呑気なこと言ってたけど……。
ま、能天気だから、あの人は。
「おい。聞いてる?」
「あっ!はい、聞いてます!」
「このインベントリー(目録みたいな物)にある政保債(政府保証債)、うちの出し客の取り。1億でディーラーからレート出して貰って」
必死にメモして政保債ディーラーのところに行こうとするけど……
「お前さぁ……」
私の腕を捕まえて、佐久間課長が「はぁ~」と溜息を吐く。
「入社して6ヶ月にもなるんだから、こんなことくらいでいちいちメモなんかしてないで頭に入れろよ。
証券会社は時間が命。
メモ取ってる暇があったら、即行動に移せよ」
うっ、出た。
これだから、ヤなんだよ、この人。
「つ、次からそうします」
「今からそうしろ」
佐久間課長は私がメモった紙を剥がすと、ビリビリ破いてしまう。
こ、こいつ……。
「どうした?行けよ。証券会社は……」
「『時間が命』ですね。かしこまりました!」
仕事を一日でも早く覚えて、いつかこいつを見返してやる!
< 1 / 522 >