課長さんはイジワル2
「どう言う……意味ですか?」

「そのままの意味」

佐久間課長が熱燗をトクトクと手酌する。

「確かにお前は、杉原……お前の姉さんと比べて、頭もいいし、手際もいい……。

だけど、俺はお前はトレーダーには向かないと思う。

と言うより、証券会社には向かないと言った方が良いかな」

「どうしてですか?!」

「言ったとおりの意味だよ。……飲むか?」

佐久間課長が徳利を持ちながら、私に日本酒を勧める。

「……いただきます」

お猪口を持つ手が震える。

「お前さ……。何で証券会社に入った?好きでもないのに」

「決め付けないで下さい!」

「じゃ、好きなんだ」

「……」

課長から注いでもらった日本酒をぐぃっと一気に飲み込む。

「課長の言ってるのは、きれいごとです!」

酔った勢いで課長から日本酒を奪い取ると、ガンガン手酌で日本酒を喉に流し込む。

「お、おいっ!お前、飲み過ぎ……」

「課長、分かってない。その仕事が好きかどうかよりも、まずは生活する方が大事ですから!

生活のためだったら、私……!」

勢いをつけて立ち上がった瞬間、世界がグニャリと折れ曲がり、私は記憶を失った。


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