課長さんはイジワル2
「何ですか?これ……」

「寄席」

「何でそんなの聞いてるんですか?」

課長のイメージじゃない。

「営業トークの参考にしてるんだよ。間合いとか参考になる」

へぇ~。

ちょっと感心。

「いつもこれを聞いてるんですか?」

「いつもじゃない。その時々によって、英会話だったり、音楽だったり、ニュースだったり……かな」

ふーん、充実した朝をお過ごしのようで……。

と、思っていたところに次の駅でドドッと大量に客が乗ってくる。

「わっ、わっ!」

やばい、この人混み。

さすがにこの右足じゃ踏ん張れない。

強烈な人の波にさらわれ、吊革もない内側へと押し流されそうになる。


「こっち来いよ」


課長が手を伸ばし、自分を盾にして私を反対側のドアに押し付ける。


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