課長さんはイジワル2
ドアドンだ。

見上げると課長の目とばっちり合ってしまい、慌てて目線をそらす。

「お……っとっと!」

そんな課長の背後からも人の波の圧力がかかり、体が密着してしまう。

右手に掴んでいたカバンが人混みに流されて引くに引けないから、課長との間に隙間が作れないまま、私の自慢のDカップが課長のみぞおち付近にぴったりとくっついてしまう。

や、やばいって。

かなり、密着してるから、これ。

でも……不覚。

身動きが取れない!

かばんごと後ろに持ってかれて手も全く動かせない。

「ゴ、ゴホン、ゴホン」

意識しているのか、課長がドアドンしている腕に口を押し当てしきりに咳き込む。

そのとき、課長のイヤホンがポロリと外れる。

『いや~、こりゃ役得だぁ~!最高だね!!』

私がギロリと睨む。

「いや、俺が言ってるわけじゃないって!」

課長のドスケベ!

首を振る課長の足を、カーブによろめいたフリをして思いっきり踏んづける。




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