課長さんはイジワル2
「愛……」

「課長には分かんないよ!
大切な人を失ったことの無い課長に……私の苦しみなんて!
何でも持ってる課長に……私の一体、何が分かるって言うの?!」


言い過ぎた!


しまったと思い、言ってしまってからひどく後悔する。


でも……その反面、課長を傷つけたいと思う残酷な自分がいる。


だけど……だけど、なんで?



なんで課長の方がそんな……私よりもひどく傷ついた顔するの?


「……ごめん。分かった。今、言った事は忘れて」

「課長……」


課長は私に背を向けると、ハンガーから上着を取り、腕を通す。


そして、カバンを手にすると、部屋から出て行こうとドアノブに手をかけ、立ち止まる。



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