課長さんはイジワル2
「確かに、電車が発達したこの都会では車なんて必要ないかもしれない」


課長はひとつ深く呼吸をすると、ドアの向こうの遠くを見つめる。


「でも、思ったんだ。愛と一緒に、いろいろなところに行ってみたいなって。

春には桜を追い駆けて、夏には海に行って……。

そして、秋には紅葉狩りを楽しんで……。

冬になったら車にスキー板を積んで、スキーをしに行けたらいいなって。

……俺と愛と、そしてゆくゆくは俺達の……」


「えっ?」



俺達の?



「……ごめん。なんでもない。じゃ、行ってくる」

「課長!」


課長は振り向かずにドアを閉めて行ってしまう。



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