課長さんはイジワル2
課長だ!

「もっ、もしもし!?」

『愛?』

4日振りの課長の声。

「課長……」

『連絡出来なくてごめん』

「ううん……」

課長の声を聞いただけで、もう胸がいっぱいになって声が出なくなる。

それはきっと課長も同じなんだ。

お互い何も言えないまま、ただじっとケータイを握り締める。

長い沈黙の後、課長が淋しそうに笑う。

『部屋がものすごく広く感じる』

「あ、それ、私も感じた」

それから、また、課長は無口になる。

『それじゃ……愛、お休み』

「うん。お休みなさい」

短い電話。

課長、すごく疲れているような声だった。

研修できっと疲れたんだろうな。


マンションに帰ったら、課長に真っ先に伝えたい。



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