課長さんはイジワル2
課長は黒手帳に手を伸ばし懐にしまうと、ふふんと鼻を鳴らして私を見下ろす。

ちっ!

次こそは必ず……。

私は舌打ちしながら、ミーティングルームに向かう課長の後に続く。



「おい。今日の新人研修、お前を集中的に当てるから覚悟しとけよ」

はぁ~……。

即、報復ですか。

振り向いた課長の顔が悪魔に見える。

とりあえず、話題を変えて敵の懐柔を諮る。

「課長は野球、やったことあるんですか?」

「小学校のときに少しだけやったかな。お前は?」

「中学校のとき、4番でピッチャーでした」

「へぇ~、道理で……。メンバー表でお前、ピッチャーになってたけど、大丈夫なの?」

「えっ?」


課長がパンツルックの私の右足にチラッと視線を送る。

課長の質問の真意は一瞬で分かったけど、シラを切る。


「だ、大丈夫ですよ」

「大丈夫ならいいけど。無理はするなよ」

「課長……」


意外と優しい。


でも、言った後に黒手帳に何かささっと書き込むから、それが気になるんだってば!!

と、心の中で微妙につっこみを入れる。



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