課長さんはイジワル2
やがて、看護師や先生がやって来て、ICUは慌しくなる。

入ってきた看護師たちにせっつかれるように私はICUから出されてしまう。



だけど……



課長の唇が私に何かを伝えようと懸命に動いてる。


私は必死に目を凝らして何度も振り返りながら、課長の唇の動きを見る。


伝え終えてほっとしたのか、課長が微笑む。


その笑顔に押尾さんの言葉を思い出す。



『佐久間のあんなに幸せそうな顔見るの初めてで……』



もぉ~~~~!!!!


課長の……バカッ!!!



こんな時に限って、本当にどうでもいいことばっかり言うんだから……。

課長の優しさが嬉しくて切なくて、胸がいっぱいになる。



私はICUの扉にコツンとおでこを当てて、ほっとしたのか涙が止まらなくなってしまう。




「私も……。私も愛してるよ」





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