課長さんはイジワル2
「……お伺いしてもいいですか?
佐久間課長のお父さんってどんな感じの方だったんですか?」
長い沈黙に困っていた私は、さっきの流れで会話が続きそうな共通の話題を何とか引き出す。
「繊細な男だったよ。
要君に良く似ていたな。
佐久間は、世界中を飛び回る優秀な商社マンで……。
語学に堪能で、頭の回転も凄まじかった。
それがある日、突然、会社を辞めたって奥方から聞いた時は本当に驚いたものだが……」
会社を辞めた?
「何で辞められたんですか?」
「ボランティアがしたいと言い出したらしい。
で、スパッと会社を辞めて、世界各地で井戸を掘り始めたときは、俺たちも驚いたよ。
でも……あいつらしいと言えば、あいつらしいな」
……井戸を……掘る?
変わったお父さん……。
「でも、亡くなったと聞きました。
もし差し支えなければお伺いしたいのですが……
何のご病気だったんですか?」
「それは……」
社長が考え込むようにうつむいた時、
「ALSだよ」
「課長!」
ぼぉっとした目で天井を見つめながら、いつの間にか目を覚ました課長が答える。
佐久間課長のお父さんってどんな感じの方だったんですか?」
長い沈黙に困っていた私は、さっきの流れで会話が続きそうな共通の話題を何とか引き出す。
「繊細な男だったよ。
要君に良く似ていたな。
佐久間は、世界中を飛び回る優秀な商社マンで……。
語学に堪能で、頭の回転も凄まじかった。
それがある日、突然、会社を辞めたって奥方から聞いた時は本当に驚いたものだが……」
会社を辞めた?
「何で辞められたんですか?」
「ボランティアがしたいと言い出したらしい。
で、スパッと会社を辞めて、世界各地で井戸を掘り始めたときは、俺たちも驚いたよ。
でも……あいつらしいと言えば、あいつらしいな」
……井戸を……掘る?
変わったお父さん……。
「でも、亡くなったと聞きました。
もし差し支えなければお伺いしたいのですが……
何のご病気だったんですか?」
「それは……」
社長が考え込むようにうつむいた時、
「ALSだよ」
「課長!」
ぼぉっとした目で天井を見つめながら、いつの間にか目を覚ました課長が答える。