課長さんはイジワル2
「じゃっ、ソロソロ、ハローワーク行ってこよっかな、な?吉田?」


「……俺は別に急がないけど」


「これだから、自宅にパラサイトしてる奴は!もういい!行くぞ、安田!」


「あ。俺、次の職場、ほぼ決まりました」


「えっ?まじでっ!?お前、いつの間に!で、どこっっ!?」


「野山証券です。丁度、『若手』のトレーダーが欲しかったって、ヘッドハンティングを通じてオファーがあったんで、で、すぐに面接して『うちに来いよ』って言われました」


「すげーー。澤村証券より大手じゃん」



さり気なく『若手』を強調した安田の余裕のピースサインに押尾さんがゴクリと唾を飲む。



「俺も決まりそうっちゃぁ、決まりそう」


「えっ?!吉田まで?どこだよっっっ?!」


「ドイツ系証券会社。ディーラーが欲しいから来ないかって……」


「マジで!やべーじゃん、俺」



そうそう。悠長に梅酒タワーなんか作ってる場合じゃないよ、押尾さん。


ガンバ!!


密かに心の中でエールを贈る。



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