課長さんはイジワル2
「何してた？」

「……町を見てたの。家の明かりって温かいね」

「……そうだな。明日には俺たちも家に帰れるよ」

「……うん」



泣くな。


泣いちゃダメ。


さっきの話しを聞かれたくなくて、課長は私を部屋からわざと遠ざけたんだから……。


だから、私は知らないふりを突き通すんだ。



「早く帰って課長の作ってくれるチャーハンが食べたいな」

「んーーー……。でも、俺は愛の作ってくれる特製カレーが食べたい」

「えーーーっ！じゃ、明日はカレーチャーハンだね。二人で作ろ？」

「なんか、世間一般のカレーチャーハンと微妙に内容が違う感じがするんだけど……」

「文句言わないの！」

「はいはい」


課長が笑いながら私の顎に手を添えると、「惚れた弱みだな」と呟いてそっとキスをしてくれる。


明日には、ようやく我が家にも明かりが灯る。


そして、これから何年も何十年もずっとずっと灯し続けられることを願いながら、課長をぎゅっと抱きしめ返す。





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