課長さんはイジワル2

第6節 とぉちゃん、来る。

課長がはぁ~っと小さくため息を吐く。


「か……かちょ?」

「……ザンネン」


課長は肘杖をつきながら上体を起こすと、恨めしそうに私を見て頭を小突く。


「何、露骨にほっとした顔してんの?」

「だって……」


いつもと違って追い詰められ感、ハンパなかったんだもん。

しっかり顔に出ちゃってたらしい。


「バレバレだよ」


課長はテーブルから降りると、かがみ込んで服をかき集める。

そして、服をバサッと私にかけると、課長も急いでシャツに腕を通す。

あたふたしながら服を着ているときも、再び、インターフォンのチャイムが鳴る。


「あー……。すみません。今、開けますから」


課長がインターフォン越しにとぉちゃんに話し掛けると、ボタンを押してマンションの自動ドアを開ける。


はやっ!


課長はもうカンペキに服を着てる。

私も急がなきゃ!

とぉちゃんが部屋に入ってきちゃうよ!


「愛、急げ」


課長がブラのホックを、やっぱり恨めしそうに留めてくれる。



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