課長さんはイジワル2
こんなに心配させるなんて……ひどいよ!

そんな時、NYに来て二人で一緒に散策したマンション近くの公園を思い出す。


もうそこぐらいしか思いつかない。


来た道を戻って公園の入り口を通り抜ける。


きょろきょろと見回すと……


いた!!!



「か……」



声を掛けて言葉を飲み込む。


目を閉じて天を仰ぎ、課長が雨に打たれてる。


小さな雨の粒が課長に吸い込まれていくように見える。


その神々しいまでの姿に声をかけられないまま、ただそっと傘を差し出す。



「愛……」

「濡れるよ。風邪引いても、知らないから」

「引かないよ。それにこれくらいの雨、この国の人たちは傘なんてささないよ」



周りをちらっと見る。

本当だ。

ニューヨーカーって雨に疎いらしい。


でも……それよりも課長の検査の結果が気になる。


なんて言って切り出せばいいんだろう。


『健康診断の結果、どうだったの?』


そう聞ければ、いいのに、聞けない。


傘を閉じ、課長の胸に頬を当てると彼のウェストに腕を回し、強く抱きしめる。


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