課長さんはイジワル2
「愛?」

「帰ろう。お腹すいた」

「食いしん坊だな、愛は。でも、俺、濡れてるから愛も濡れるよ」

「いいよ。別に」


ふっと笑って、課長が私の頭を抱え込むように抱きしめ返す。


「日本に帰ったら、スキーに行こうか?」

「えっ?」

「約束してただろう?冬はスキーって」

「……え?あ、うん」


課長の指が私の髪を優しく梳いてくれる。


「もしかして、滑るの嫌?」

「ううん。初めてだから、好きとか嫌いとかは分かんないけど……」

「そうなんだ」

「課長は?」

「滑れる。一応、父親が転勤族だったから、北国に行ってスキーとかも習ったし」


課長が小さい頃のこと話してくれるなんて珍しい。


「北海道とかで滑ってたの?」

「……いや」

「新潟?」

課長が首を横に振る。

「じゃぁ……長野?」

「日本じゃない。ドイツとか、スイスとか、スウェーデンとか」

「えっ?!」


なんか……グローバル過ぎてびっくりする。



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