課長さんはイジワル2
ノリのおばあちゃんが亡くなって……
6,000万円もの治療費がどこから出てきて……
ああ……
もう……
ダメ……
かなり混乱してるっぽい。
完全にオーバーキャパシティ。
「…………」
「……何かあったとね?愛?」
涙を堪え、震えている私の手から奥田さんが携帯をそっと外す。
「電話、俺が変わろう。もしもし。
お義母さんですか?巧です。
今、丁度、NYの方に来ていて……はい……はい……」
奥田さんが携帯を持ち話しながら、なんとかうまくこの場を取り繕ってくれた。
その優しさに涙が溢れてきてしまう。
奥田さんは話し終えて電話を切ると、そんな私にそっとハンカチを渡してくれる。
「あ……ありがとうございます」
ハンカチを手にしようと手を伸ばした時、隣の部屋でガターンと何かが倒れた音にはっとする。
奥田さんと私は、一瞬顔を見合わせると、急いで隣の部屋へと向かい、ドアを開ける。
「課長!」
「佐久間!」
床に倒れこんでいる課長のもとへと急いで駆け寄る。