課長さんはイジワル2
『武雄(たけお)』だ!


気まずい雰囲気が、一瞬、私と武雄の間に流れる。

高校に入ってすぐ告られたんだっけ、武雄に。

だけど、ヒップホップに夢中だった私は「ごめんなさい」と即答し、頭を下げた。



武雄の様子から、あの日のことはしぃぃぃっかり覚えているらしいことを察知する。


ああ……

なんかいたたまれない。

目線を下に顔をそらす。


「久し振りたいね、杉原さん。あんまりにもキレイになっとっしゃったけん、一瞬、誰か気づかんかったばい」


親しい声で話しかけてくれる武雄の言葉に顔を上げる。


「でしょ。私の自慢の友達やけんね!」


優由が高校のときと変わらず、私の腕に自分の腕を絡める。

懐かしい時間の風が胸の中に吹き込んでくる。


「いやぁ~、しかし、ほんなごてキレぇかぁ~。
杉原さんはあの頃も美人さんやったけど、そのぉ……ますますキラキラ輝いて……」


もう当時のことに拘ってはいない武雄の様子にほっとする。


「愛、都会で彼氏でも出来たとじゃなか?」


えっ?!

す、するどい。

優由は、昔からそっち方面はやたらと鼻が利く。

疎い私とは大違い。

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