課長さんはイジワル2
そんな優由の左手薬指に輝く指輪が目に入る。


「優由!結婚したの?!」

「えっ?!あ、うん。実はこの秋に武雄と家族だけで内々に……」

「わぁっ!おめでとう~!」


二人が恥ずかしそうに顔を見合わせる。

そうだったんだぁ……。

すごく幸せそう。


何も変わっていなかったようで、確実に6年という年月が流れていたんだ。


結婚かぁ。

私たちがもうそんな年齢になっていることに驚いてしまう。


私もいつか、結婚するのかな。


課長の顔がポン!と浮かぶ。


な、なんでここで課長の顔が出てくるのよ!


悪霊退散!


慌てて、首を振って課長の影を振り払う。


「どうしたと?ところで、足の方はもう大丈夫ね?」


優由が心配そうに私の右足をチラっと見る。


「……うん。普通に生活する分には」

「ヒップホップは?」

「それは、無理」

「そぉかぁ。そう言えば、木村さんとこのばぁちゃん、この間、亡くなりんしゃったよ」

「……うん、聞いた。だから、帰ってきたの」



3人でゆっくりとした時間の中を歩きながら、農道を進む。





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