課長さんはイジワル2

時間の経過と共に心の傷が癒えるなんて、嘘だ。


時間を経てもなお、想いがそのときに戻れば、瞬時にその場所に引き戻され癒えたはずの傷がさらに私を引き裂き、悲鳴と血が流れる。


何度も何度もあの時の映像を思い出す。



そうやって、思い出すことでちょっとだけ慣れるだけ。


気が狂わないでいられるギリギリの場所に踏みとどまれるだけ。


それはきっと生きている限り一生忘れることの出来ない痛み。


絶望の中にかすかに見出せた希望も自ら闇に葬っていった日々。


それこそが、自らに架したノリへの謝罪だと思ってた。


後悔と謝罪の逃げ場の無い無限ループの中で、あの日の映像が延々と胸を締め付けていた


はずなのに……。


なのに、事故の遭ったこの場所は……


陽がさんさんと当たってこんなにも眩しくて暖かい。




「ノリ、ごめんね。本当に、ごめんね」




手を合わせ嗚咽する私の背後から、「愛……ちゃん？」と掛けられた声に驚き、後ろを振り返る。