課長さんはイジワル2
安田が私を優しく見つめる。


「あれから、何度も自分に言い聞かせたんだ。
ダメだって。
君は佐久間課長のものなんだからって。
君は決して俺のこと見てくれない。
それは分かってるんだけど……。
でも、正直、きついな、と思うときがある。
いつもこんな風に手を伸ばせばすぐ近くに君はいるのに……」


切なく見つめ私の頬に触れる安田に、彼がバリバリの肉食系だったことを思い出し、後ずさる。


そんな私を見て安田が少し傷ついたような顔をする。


「怖がらないでよ。もう、無理に襲ったりしないから」


安田は立ち上がると私に背を向ける。


「ところで、足、大丈夫?治療の件はどうなったの?」

「手術をすれば治るけど……」

「けど?」

「たぶん、しない……と思う」

「えっ?なんで?!」


安田が驚き、振り返る。


「手術したら治るんだろ?だったら、なんでっ……!?」

「……それは……」

「悩むところじゃないんじゃない?
それとも手術してももう以前のようには戻らないとか?」


私は首を横に振る。


「だったらなんでっ!?」




< 457 / 522 >

この作品をシェア

pagetop