課長さんはイジワル2
「とぉちゃん……」
そうだった。
誰よりも独りぼっちだった課長。
独りにしてはいけない人だった。
自分が淋しいと言うより、私に淋しくないかと気遣ってくれる人。
私にはいつだって温かく迎えてくれる家族がいて……。
それに、課長はこうして私の気持ちを理解して、日本に帰してくれて……。
私……。
玄関わきに掛けておいたコートとバッグを急いでつかむ。
「ごめん!田吾作にぃちゃん、帰ってきたばかりのところ悪いけど、私を博多駅に連れてって!」
「えっ?!」
「今行けば最終には間に合うから」
「ちょ、ちょぉ、愛。帰ってきたばかりでなんば……」
「行かせてやれ」
「とぉちゃん……」
「うちからも頼むたい」
「かぁちゃん……」
玄関に立つ私にかぁちゃんがそっと通帳を渡す。
「うちのへそくりたい。300万あるけん。とぉちゃんには内緒で貯めとったけど、愛の手術に役立てんしゃい」
「かぁちゃん……」
なんて、似た者夫婦なのよ。
そうだった。
誰よりも独りぼっちだった課長。
独りにしてはいけない人だった。
自分が淋しいと言うより、私に淋しくないかと気遣ってくれる人。
私にはいつだって温かく迎えてくれる家族がいて……。
それに、課長はこうして私の気持ちを理解して、日本に帰してくれて……。
私……。
玄関わきに掛けておいたコートとバッグを急いでつかむ。
「ごめん!田吾作にぃちゃん、帰ってきたばかりのところ悪いけど、私を博多駅に連れてって!」
「えっ?!」
「今行けば最終には間に合うから」
「ちょ、ちょぉ、愛。帰ってきたばかりでなんば……」
「行かせてやれ」
「とぉちゃん……」
「うちからも頼むたい」
「かぁちゃん……」
玄関に立つ私にかぁちゃんがそっと通帳を渡す。
「うちのへそくりたい。300万あるけん。とぉちゃんには内緒で貯めとったけど、愛の手術に役立てんしゃい」
「かぁちゃん……」
なんて、似た者夫婦なのよ。