課長さんはイジワル2
もてるね、安田。


「安田は親友。それ以上でも、それ以下でもないから」

「だけど、聡さんの愛先生を見る目って熱っぽくないですか?」


女の子たちがうんうんと顔を見合わせる。


「もう、いいんじゃね?お前らいい加減くっついちゃえば?」

「押尾さん……」


背後から飛んできた押尾さんの声に驚き、振り返る。


「佐久間に義理立てすることなんてないって。
愛ちゃんも気づいてるんだろ?安田の気持ち」


押尾さんがツカツカと近づいてくる。


「佐久間だって、それくらいの覚悟であいつに託して愛ちゃんの元を去ったんだと思うし……」

「佐久間?佐久間って誰ですか?もしかして、愛先生の恋人だとか?」


女の子たちが色めき立つ。


「ねぇ?愛先生、誰なんですか?」


無邪気に会話を振る女の子たち……


「……恋人」


思わず言葉が口をついて出る。


「愛ちゃん……?」


押尾さんが眉をひそめる。


「佐久間課長は……私の……永遠の恋人……」



振り絞るように答えてしまってから、はっと我に還る。




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