課長さんはイジワル2
でも、その翌日の深夜には、雪だるまのように冷え切った安田がNYのマンションのインターフォンを鳴らしていた。


ドアを開けた私を見るなり


「杉原さん……良かった。生きてる」


安田は玄関先でしゃがみこんでしばらく立ち上がれなかった。


そんな安田の顔を見て、すごくほっとしたのを今でも覚えてる。


あの日から、安田は片時も私から離れることなく、ずっと私のそばにいてくれた。



そうか……。
あれからもう5年も経ったんだ。


両肘をテーブルの上に付きながら顎を乗せると、じっと安田を見る。


長いまつ毛だなぁ……。


こんなにまじまじと安田を見るの、初めてかも。


目の前で、閉じられていた安田の瞳がゆっくり開かれる。



「うわぁっ!!」



ガタガタガタッ~~ン!



安田がいきなり立ち上がり、椅子が倒れる。



「き、来てるんなら声掛けてよ!びっくりするだろ?!」


「ごめん」


真っ赤になりながら、「まじで、勘弁してよ」と安田が椅子を立てる。



そんな安田の手が少し震えてる。



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