課長さんはイジワル2
ああ……

会ったら、話したい事、聞きたいことが沢山あったのに……。





「髪、伸びたね」






不意に課長の手が伸びて私の首の後ろをなぞるように、髪を梳く。


突然のことに、びくっとなってしまった私に課長が「あ、ごめん」って、慌てて手を引っ込める。

5年という月日が私達を臆病にさせる。


どうしよう。

言葉が出てこない。



長い長い沈黙に

コーヒーを持つ手が

カップに当てた口が震える。






「綺麗になったね」





課長の優しい言葉に顔を上げると、そこには5年前と変わらない課長の優しいまなざしがある。



「なんでっ……?!」



なんで、そんな呑気なことが言えるの?

どれだけ心配したと思ってるの?



もう堪えるのなんて無理。

ボタボタと落ちる涙が、コーヒーカップの水面に波紋を描く。


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