課長さんはイジワル2

キスを受けながら、次第に夢中になって応えてしまっている自分がいた。


「すぎ……はら……」


えっ？！


課長の言葉に、夢のようなキスから現実に引き戻される。


やがて、力の抜けた課長の腕の中からスルリと抜け出すと、言いようの無い惨めさと敗北感に打ちのめされる。



課長……。

今……誰とキスしてたんですか？



私はコートを手にすると、重くなった体を引きずるようにして玄関へと歩き、放心状態で靴を履く……。


生まれて初めてのキスは、甘くてほろ苦い……

お酒の味がした……。



「ひどいよ、課長……」



私は唇を袖でぐいっと拭うと、逃げるようにマンションを飛び出していった。