叶う。 Chapter3
「そして俺も子供の頃から、何度もボスにもその父親にも会っていた。俺の親父はボスの父親をとても崇拝していてな。俺をボスの様に育てようと必死だった。」
私はなぜお父さんがシオンと同じような雰囲気をしているのかが分かって、何だか泣きたい気分になった。
お父さんはきっと沢山辛い目にあってきたに違いない。
「まぁ、結果はご察しだがな。俺はボスほど優秀な人間じゃない。だが、そんなでも俺とボスは共通点があってな。お互いに殺したいほど親を憎んでた・・・」
そう言ったお父さんの瞳は、今まで見た事もないくらい冷たかった。
「それはどうでも良いが、俺が24になったばかりの頃だったか・・・ボスの父親が死んだ。跡継ぎは知っての通りボスだったが。そして同時期に俺の両親も死んだわけだ。」
お父さんはそう言って冷笑を浮かべた。
その顔には情の欠片さえも見当たらなかった。
やっぱり私には分からない世界がそこに存在するのだと、私は何だか妙に納得した。
「問題はここからだ。親父の葬儀が終わって直ぐに、ボスから連絡があった。女を預かって欲しいとな、女の腹には既に男の子が2人いることが分かってた。だが、ボスは父親に見合いさせられて既に結婚していてな、その嫁は酷く傲慢で憎たらしかった。だから安全な場所に女と子供を移したかったんだろうな。」
それがママと双子だという事は、言われなくても分かった。