叶う。 Chapter3
「結は普通に幼稚園に通って、小学校に上がった。母親がいないから寂しい思いはさせたが、良い子に育ってくれた。毎日外で元気よく遊ぶ、よく笑う子だった。さっきのお前の彼氏達とも公園でよく遊んでたんだよ。俺は良く公園であいつらとも一緒に遊んでたからな。」
「だから・・・知ってたんですね・・・。」
私はそう言って目を閉じた。
何だかこの先は知りたくない、そんな気がしてたまらなかった。
「だが結が小学校に上がって直ぐくらいか・・・・」
お父さんはそう言って顔を上げたけれど、相変わらず私とは視線を合わせなかった。
「ちょうどシオンがおかしくなり始めて手が付けられなくなったボスが、双子をこっちに戻そうと、話をしに突然何の前触れも無く家にやって来たんだ。全く抜け目が無い人間だからな、ボスなりに何か勘繰ってたんだろう。結を隠す時間すらなかった。」
お父さんはそう言って、ゆっくり立ち上がると窓辺に立って外を眺めた。
我が家に来たのも突然だった、だから私も家族と話す時間すら貰えなかったことを思い出した。
私はもうこれ以上聞きたくないと思ったけれど、何とか深呼吸を繰返して平静を保った。
「ボスは結を見て、ただ一言だけ言ったんだよ。」
お父さんはそう言って窓枠に両手をついて項垂れた。