叶う。 Chapter3
「そういうこった。だから人生は何でも自分の思い通りにはならねぇんだよ。俺はボスが何でお前を殺さなかったのか不思議で仕方ねぇ。」
お父さんはそう言って微かに笑った。
その顔がとても苦痛に満ちているように見えるのは、私の心が不安定だからなんだろう。
「だがな、生きたくても生きれなかった人間もいるんだ。お前は自分ばっかり不幸な目にあってると思ってんだろ?だからガキなんだよ。もう少し大人になれ。」
お父さんはそう言って、未だ涙の止まらない私の髪をくしゃくしゃと撫でた。
「それにこれは俺の勝手な気持ちだが、俺はもうお前とボスに繋がりを持っていて欲しくない。お前がどう思っていようが、あの人には敵わねぇよ。何があってもな・・・」
お父さんは静かにそう言った。
「あれは・・・人間じゃない。これはあくまでも俺の勝手な考えだが、シオンはボスと同じになるだろう。そうしなきゃあいつは生きていけない。」
「・・・・それは・・どういう、意味ですか?」
「そのままの意味だ。だから、もう関わるのは辞めた方が良い。お前は不満かもしれねぇが。最初は俺もお前の好きにすればいいと思ってたがな・・・・・・だが俺はもうアンナを失いたくない。」
お父さんはそう言って、私とは視線を合わせずに部屋を出て行ってしまった。
一人取り残された私はお父さんの言葉の意味を考えて、ベッドに潜り込んで泣き崩れた。