叶う。 Chapter3
「初めましてではありませんが。みやと申します。」
私の脈を測り終えると、その人は優しい声音でそう言った。
そしてテーブルに向かい水の入ったグラスを手に取り、その場所に一緒に置かれていた薬と共に私の元に持ってきた。
私にそっとグラスを手渡すと、その人はほんの少しだけ笑顔を見せた。
「喉が渇いていますでしょう?昨日からずっとお休みになられてましたから。」
私はとにかく水が飲みたかったので、その行動にとても助かった。
「まだお眠りになりたいようでしたら、薬は点滴に入れますが・・・。」
私はグラスの水を一気に飲み干した。
「・・・い、いえ、もう起きます。」
喉が潤ったおかげでやっと声が出せた。
それにもう薬は沢山だ。
フラフラするし、頭が上手く働かなくなる。
私が慌ててそう言ったので、みやという謎の女性はまた微かに笑みを浮かべた。
「そうですか、では点滴を外しましょうか?」
この人は一体何者なんだろうと思ったけれど、私がそれを聞く前に部屋の扉が勝手に開いた。
扉から顔を覗かせたのはお父さんだった。
「・・・・ひでぇ顔だぞ。」
ベッドに座る私に、お父さんは顔をしかめてそう言って部屋に入って来た。