叶う。 Chapter3




お父さんはずかずかと私のベッドまでやって来ると、その隣に置かれた椅子に座った。

みや、と言う謎の女性はやっぱり空気が読めるのか、手早く私からグラスを受け取ると、お父さんに一礼をしてから直ぐに部屋を出て行った。



「不細工が更にひでぇことになってんぞ。」


みやと言う人が居なくなると、お父さんは呆れたようにそう言いながらも、私の髪を優しく撫でた。
言葉とは裏腹なその行動に、私は何だか泣きたい気分になったけれど、曖昧に笑って誤魔化した。


「お前が寝ている間に色々あってな、さっきの女だが会ったことあるだろう?」


「・・・・はい。」


「あいつがお前の付き人になる事になった。あいつは良いヤツだからお前とも気が合うだろう、だと。」


「・・・・え?」


「レオンからの伝言だ。もしお前に誰かをつけるならあの女をと。まぁ男より女の方がお前も色々と都合が良いだろ?」


「・・・それは援助には・・・。」


「含まれねぇ、雇ったのは俺だ。」


それを聞いて少しほっとした。

確かに男の人に常に一緒に居られるなら、女の人の方が良い。
だけれど付き人と言う慣れない響きはどうもあまり好きになれそうにない。

無言な私にお父さんは何かを察したのか、こう言った。




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