叶う。 Chapter3
昨日からおかしい。
何がどうなっているのか、私には分からない。
何故、アンナの記憶を私が思い出すのか、全く意味が分からなかった。
色付いたその記憶は、間違いなくアンナの記憶なのだ。
だけれど昨日と違って、あの酷い頭痛が起こることはなかった。
私はじっと鮮明にその記憶を思い返してみたけれど、頭が痛くなることはない。
「・・・ご気分が良くなさそうです。」
みやさんはそう言って、固まったままの私をゆっくりとベッドへと寝かせた。
なんで?
なんで私が知らないはずの記憶が蘇ったの?
私はされるがまま、そんなことを繰り返し頭の中で考え続けた。
だけれどその答えは分からない。
元々がアンナの身体だから、私はそれを思い出すことが出来るのか?
それとも何か別の理由があるのか私には全く分からない。
意味が分からない事は、恐怖心を煽る。
私の頭の中で一体何が起きてしまっているのか。
だけれどそれを永島先生に相談するわけにもいかない。
言ってしまえば、私は強制入院させられるだろう。
それは出来れば避けたいけれど、でも誰かに相談しなきゃ私の頭ではそれを解明する事は出来そうにない。
だけれど今はまだ大丈夫かもしれない。
昨日みたいに倒れるほど頭が痛くなった訳じゃない。
ただアンナの記憶を私が何故か思い出しただけだ。
それは私にとってはすごく怖いことだけれど、私の心の中と頭の中の問題だ。