叶う。 Chapter3
私が怖いだけであって、他の人には何の害もない。
昨日みたいに倒れたりしたらやっかいだけれど、今は身体は何とも無いんだ。
だからあまり気にする必要はないのかもしれない。
横から私の顔をじっと見ているみやさんの視線は痛かったけれど、私は横になったままゆっくりと深呼吸をして気持ちを落ち着けた。
「ごめんなさい。ちょっと思い出したことがあって、嫌な気分になっただけです。」
私はみやさんとは視線を合わせずにそう言った。
「・・・・そうなんですね。ご気分が悪くなったら言って下さい。」
みやさんは相変わらず優しい声音でそう言うと、立ち上がって窓の外を見た。
「この家は綺麗ですね。木に囲まれていて、何だか落ち着きます。」
みやさんはそう言うと、優しく笑いながら振り返った。
「もしお嬢様が嫌なようでしたら、私は外におりますが。部屋に付いていても宜しいですか?」
私はみやさんの言葉に、さっきお父さんが出て行った時に直ぐに部屋にやってきたみやさんの事を思い出した。
外とはきっと廊下のことだろう、と私はふと思う。
こんな寒い中、廊下に一人で居られるのは逆に申し訳ない気がして、私は首を振った。
「いえ・・・ここに居てください。」
私がそう言うと、みやさんは優しく微笑んだ。