叶う。 Chapter3
「お兄様達とは、一切の連絡を取っておりません。と言うよりも、取れないのです。こちらから連絡をすることは、以前から致しませんでしたので。」
美弥はそう言って顔を上げて私を見た。
「・・・・そうなんですね。」
「はい、そういう契約でしたので。」
それはどんな契約だったのか、知りたいと思ったけれど過去を聞くことはいけない事だとお父さんに言われた通り、私は何も聞かなかった。
私は俯いてレオンと美弥のことを考えると、何だか寂しい気持ちになった。
「だけど私は幸せです。お嬢様の傍にこうして居られるのですから。お兄様達がどれだけお嬢様を大切にしていたのか、私は知っています。ですから私は命に代えてもお嬢様をずっと見守らせて頂きます。」
美弥はそう言って、私の瞳をじっと見つめた。
迷いの無いその視線は、ここ最近だけで何度も見ているからそれが嘘偽りのない眼差しだと私には分かった。
「・・・ありが・・とう、宜しくお願いします。」
「こちらこそ、宜しくお願い致します。」
私はそう言って手を差し出した。
美弥は一瞬戸惑った表情を浮かべたけれど、私の手をぎゅっと掴んで、私達は握手を交わした。
美弥の手は小さくてとても冷たかった。