叶う。 Chapter3
お父さんと言えば、相変わらず口も態度も悪いけれど、私が安定しているからか、お父さんもなぜか以前よりも私に対して色々とうるさく言わなくなった。
そして以前にも増して、私をとても可愛がっていることが誰の目にも明らかだった。
他人である私だけれど、お父さんが嬉しそうにしている姿は見ていてとても幸せに感じる。
お父さんとママが望んだ姿が、きっとこの光景なんだろうと私はそう思っていた。
そしてあの日以来、私は家族に一切の連絡を取っていなかった。
勿論、取りたくないのではなくて、取れなくなってしまったのだ。
最初の理由は単純なことだった。
私の傍に、常に美弥が居るからだ。
自分から連絡を取ることが出来ないと言った美弥は、きっと私よりもずっとずっと辛いんだろうと、何故かそう思ったからだ。
美弥がどんな生き方をしているのか、私には分からない。
だけれど美弥がレオンのことを心から想っていたことを、私はなんとなく気付いてしまった。
そんな美弥は、今では私にとって居なくなってしまったら困る存在なのだ。
それは付き人、として傍に居てくれるだけではなくて、美弥は本当に頭が良いのか、察しが良いのか、余計な事は言わないけれど、いつでも私の事を気にかけて、そして私の心を落ち着けてくれる。