叶う。 Chapter3
そのおかげで、最近の私は完全に美弥に心を開いていた。
美弥は私の心の変化や、記憶のことを全て理解してくれている。
だから私は産まれて初めて、美弥という人に自分の心を開いて全てを曝け出していた。
美弥の専門は精神、神経、所謂永島先生と同じ精神科医だった。
だからこんなに空気を読むのが上手いのかと、初めて聞いた時そう感じたけれど、それを聞いたら美弥は笑ってこう言った。
「私は、小さい頃から親の機嫌をずっと伺って生きてきましたから。だからその癖が抜けないのです。」
そう言った美弥は寂しそうに笑ったけれど、私はそれ以上聞かなかった。
それに美弥は私の微かな変化や、感情の変化にも直ぐに気がつく。
だからその度に、私に色々とアドバイスをくれたりする。
何だかお姉さんが出来たようで、私はすっかりそんな美弥に懐いていたし、美弥もそんな私をとても大事に扱ってくれた。
私は僅か数日で、美弥のことを心から信頼し始めた。
だから私は家族に連絡を入れることが出来なかった。
美弥が傷つく姿を見たくないと思っているから。
美弥がレオンを思い出すような行動を、自分から進んでやる気にはどうしてもなれなかった。