叶う。 Chapter3




シオンは私が平凡で穏やかな毎日を過ごすことを望んでいるのだ。
私は沢山の人に散々迷惑を掛けて、やっとその事に気がついた。


中途半端にすることは、余計に相手を傷つけるのだと、最近の私はやっとそう考えるようになった。

だからシオンは連絡をして来ない。
頭の良いシオンは、私がなぜシオンに電話を掛けてこなくなったかすらきっとお見通しだろう。


今はどう足掻いても、シオンに会うことは出来ない。

だから皆が望むように、私は平凡で穏やかな日々を過ごすべきなのだ。
それが皆の幸せであり、願いであるならば、せめて暫くはそういう生き方をしてみるのも良いかもしれない。

そんな風に考えるようになったから、私は家族への連絡を一切絶つことに決めたのだ。


寂しい、悲しい、辛い、という感情は私だけではなく、家族皆がきっとそう感じていたはずだ。

だけれど皆がきちんと前を向いて、真っ直ぐに歩まなければ、きっといつまで経ったって私達はまた会うことも出来ないんだろう。

だから私は真っ直ぐ前を見て歩く。

時には躓くこともあるだろうけれど、それでも私は生かされたのだから生きていかなきゃいけない。





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