叶う。 Chapter3




「さぁ、説明は以上だ。何か質問は?」


1階へ向かう階段を降りながら、お父さんは私にそう言った。


「・・・あの、私は出掛けたりしたらいけないのでしょうか?」


買い物に行ったり、ちょっと用事があっても出れないのなら、色々と不便だし、何よりそれを禁止されたら私は家族に会う為の行動も制限されることになる。


それこそ、ずっとここで監視されているのと変わらない。


「いや、出かけるのも遊びに行くのも好きにすれば良い。ただそれでピアノを疎かにしたり、俺に歯向かったりしなきゃ勝手にしろ、ただし門限は8時だ。」


お父さんはそう言って、私に家の鍵と門の鍵を渡してくれた。


「それは正面の門じゃなくてその隣にある門の鍵だ。正面はリモコンじゃないと開かない作りでな。車でしか通れない。さっき見たろ?あの門の左側に別の門がある。出入りはそこから。くれぐれも鍵を無くしたり、閉め忘れたりするなよ?」


「分かりました。」


「あー、あと一つ、食事は朝7時と昼12時、夜は8時だ。もし出かける予定があって食事が要らないようなら、早めに家政婦の誰かに伝えておけ。迷惑は掛けるなよ?」


「はい。」



何だか色々な事をいっぺんに言われて頭がパンクしそうだったけれど、私は何とか大事な事だけ記憶に留めた。






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